このように思っている人向けの記事です。
「医者だから」「あの人が言っているから」という理由で信じてしまっている人が多すぎる用に感じます。
確かに、医者や弁護士など権威のある職業に就いている人や、twitterでフォロワーがたくさんいる人の言葉は信頼できますよね。
しかし、この人たちが「100%」正しいことを言っているのか考えたことはありますか?
実は、権威のある職業に就いている人が言っていることを鵜呑みにしていることで、間違った行動をしてしまうことがある、という研究があります。
「いやいや、そんなことないだろう」と思った方は、この後をぜひ読んでみてください。
この記事では、騙されやすい人がつい信じてしまう理由と、騙されないようにする対策について紹介しています。
では、早速見ていきましょう。
なぜあなたは騙されてしまうのか

とある心理学の実験で、「研究者の格好をしている人を無意識に信じてしまう」という結果が出たものがあります。
この実験を見ながら、騙されてしまう理由について理解していきましょう。
騙されてしまうことを確認した実験
■実験のシーン
登場人物は3人。教師役の人・生徒役の人・研究者の人。
研究者の指示で教師役は生徒役に問題を出し、間違えたら電気ショックを与える。
間違えるたびにボルト数を上げるため、痛みがどんどん増していく。
生徒役の人の叫び声がどんどん大きくなっていき、「もう頼むからやめてくれ」と繰り返し叫んだ。■実験の裏側
実は生徒役は仕掛け人で実際に電気ショックは流さず、あたかも電気が強く流れているように演技をしていた。
教師役が痛がっている生徒役を見てどのように行動するのかを確認した実験。■実験結果
40人の教師役のほぼ全員が、電気ショックを与えるのをやめなかった。
また、生徒役が事前に「心臓疾患がある」と伝えた場合でも、65%の人は最後まで電気ショックを与え続けた。
生徒役が仕掛け人ではなかった場合は恐ろしい実験ですね。
これは「ミルグラムの実験」と呼ばれています。
なぜ教師役の人は電気ショックを与えることをやめなかったのでしょうか?
女性でもまったく同じ実験を行ったところ、参加者の性別は関係ないことが明らかになっています。
実験後に行われた性格テストの結果は心理学的に正常であり、精神疾患の兆候はまったくなかったことがわかっています。
また、追加の実験で以下のことがわかっています。
研究者と生徒役を入れ替えて実験をしたところ、教師役の人「全員」が電気ショックを与えることを拒否した。
以上の研究の結果から、研究者に対して教師役が反抗できなかったところが一番の問題であったことが判明しました。
ではなぜ反抗できなかったのでしょうか?
肩書きや見た目による影響
人は「肩書き」や「服装」でその人のことを信用してしまう傾向があります。
以前の記事で、「ハロー効果」という心理学の現象により、服装や容姿で無意識に人を判断してしまうことを紹介しました。

今回もハロー効果に似たケースで、電気ショックを与える係だった教師役の人は、以下の順番で考えていたはずです。
研究者という「肩書き」と研究者のような「服装」から判断して、「研究者の言うことなのだから間違いはない」と教師役の人は判断して電気ショックを続けてしまいました。
逆に、研究者と生徒役を入れ替えた途端に電気ショックを与えなかったのは、電気ショックを指示する人が上記のような「肩書き」「服装」ではなくなったためだと考えられます。
実際にその人がその職業に就いていなくても、権威のある職業を連想させる服装をしているだけで、その人に従いやすくなるという傾向があるのです。
少し大げさな比較ですが、以下のようなことが言えますね。
- 白衣やスーツを着ている人に依頼される → 「この人なら信用できる」と思ってもらえる
- Tシャツ短パンの人に依頼される → 「この人は信用できなさそう」と思われてしまう
この実験結果を応用すると、本当は研究者ではなくても、研究者を連想させる白衣などを着ることで「信頼できそう」と思ってもらえるため、その人に従いやすくなるということです。
完全に余談ですが、家に訪問してくるような詐欺師は、「スーツ」や「制服」を着ることで権威性を出し、相手に「信頼できる人だ」と思わせようとしてくるケースがほとんどです。
詐欺師は心理学のプロなので、こちらが騙されていることすら気付かない場合もあります。身だしなみの整った初対面の人には十分に気をつけましょう。
また、医療の現場でも同様の現象が確認されています。
ある医者が、右耳に痛みを訴える患者に対して耳の薬をさすように看護師に指示をした。
そのとき「Right ear(右耳)」と書かず「place in R ear」と略してメモ書きを渡したところ、看護師はお尻(rear)に薬を数滴さした。
おまけ:身長が高い方が得?低い方が得?
おまけとして、身長と肩書の関係がわかる実験があるので見てみましょう。
■実験のシーン
オーストラリアの大学生を5クラスに対して紹介をした。
それぞれ「学生」「実験助手」「講師」「准教授」「教授」という地位で紹介された。■実験結果
教授として紹介された場合は、学生として紹介された場合よりも身長が6センチ高く見られていた。
なんと、人は「大きさ」と「地位」を紐づけて考えることがわかっています。
体を大きく広げて威嚇している動物を見たことある人が多いと思いますが、これも自分を大きく見せて地位が高いような印象を与えていると考えられています。
また、1900年以降に行われたアメリカ大統領選挙では、9割近い確率で主要政党の候補者のうち背の高い方が勝利をしています。
身長に関するこんな面白い調査結果も出ています。
恋人募集の広告で、男性が背が高いことをプロフィールに書いた場合、女性から手紙を多く受け取った。
女性の場合は身長が低くて体重が軽い方が、男性から手紙を多く受け取った。
さらに、背が高い人は背が低い人よりも高収入で、責任のある地位に就きやすいという結果も出ています。
騙されないためにはどうするか

ここまでの復習をすると、私たちは以下のような理由で騙されてしまいます。
- 医者や研究者といった肩書だけを見て、その人を信じてしまう
- 実際にその肩書がなくても、格好を見て信じてしまう
- 身長の高さとその人の地位を無意識に関連付けてしまう
スーツを着た人や身長が高い人を無意識に信じてしまうのであれば、対策できないのでしょうか?
私なりの結論としては、「心理学の勉強をすることが一番の対策になる」と考えています。
知らないと無意識に騙されてしまうのなら、知っている状態にしておけば「あれ、このパターンは・・・」と思い出すきっかけになります。
ということで、この記事を読んだあなたはラッキーです。
この記事を読んだことで、スーツを着たり制服を着たりしている人をむやみに信じるようなことはしなくなりますね。
他の心理学の記事もまとめているので、これを機にチェックしておくことをおすすめします。
心理学はゼロから勉強すると大変ですが、私なりにエッセンスを抜き出してまとめているので、ある程度わかりやすいと思います。
心理学って知らないだけで割と損をしていることも多いんですよね。
みなさんも心理学を勉強して、騙されない人生を手に入れましょう。